ベクトルの基本 / → ベクトルの加法・減法


ベクトルとは何か — 向きと大きさをもつ量


動機: 「場所によらない移動量」を表したい

「1 km 北に進む」という情報を数で表せるでしょうか。スカラー(普通の数)では方向が表せません。そこで「向き」と「大きさ」を一緒に持つ量、ベクトルを導入します。

矢印はまさにこの 2 つの情報を持っています。矢印の向きがベクトルの向き、矢印の長さがベクトルの大きさ(長さ)です。


ベクトルの相等 — なぜ始点が違っても同じか

複数の矢印でベクトルの相等を示す図(左)/ 零ベクトル・逆ベクトルの図(右)

ベクトル \( \vec{a} \) は「どこから出発するか」に依存しない移動量です。したがって:

\( \overrightarrow{AB} = \overrightarrow{CD} \) の意味は「AB と CD が平行・等長・同向き

始点の位置は関係ありません。平行四辺形 ABCD では \( \overrightarrow{AB} = \overrightarrow{DC} \)(向きに注意:D から C の方向)。


零ベクトル — 大きさ 0 のベクトル

始点と終点が一致するベクトルを零ベクトル \( \vec{0} \) といいます。大きさが 0 なので向きは定義しません。

$$ \vec{a} + \vec{0} = \vec{a}, \quad \vec{a} + (-\vec{a}) = \vec{0} $$

逆ベクトル — 向きを反転させる

\( \vec{a} \) と大きさが等しく向きが逆のベクトルを逆ベクトル \( -\vec{a} \) といいます。

$$ -\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{BA} $$

計算例

例 1: 平行四辺形 ABCD での相等

平行四辺形の性質(対辺が平行・等長)より:

$$ \overrightarrow{AB} = \overrightarrow{DC} $$

注意: \( \overrightarrow{CD} \) は D から C なので \( -\overrightarrow{AB} \)(向きが逆)。

例 2: OA = CB のとき OACB の形状

\( \overrightarrow{OA} = \overrightarrow{CB} \) は「O から A への移動」と「C から B への移動」が同じ、つまり OA \( \parallel \) CB かつ \( \overrightarrow{OA} = \overrightarrow{CB} \)。したがって四角形 OACB は平行四辺形

例 3: \( \vec{a} + \vec{b} + \vec{c} = \vec{0} \)、\( \vec{a} = -2\vec{c} \) のとき \( \vec{b} \)

代入すると:

$$ -2\vec{c} + \vec{b} + \vec{c} = \vec{0} $$
$$ \vec{b} - \vec{c} = \vec{0} \implies \vec{b} = \vec{c} $$

確認: \( -2\vec{c} + \vec{c} + \vec{c} = (-2+1+1)\vec{c} = \vec{0} \) ✓


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