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ベクトルの加法・減法 — 矢印の連結と逆方向
動機: 「移動の合成」を数式で表したい
「東に 3 km 進んでから北に 4 km 進む」と、合計の移動はどこに向かうか。この「移動の合成」がベクトルの加法です。
加法の定義 — 頭尾連結
\( \vec{a} \) の終点から \( \vec{b} \) を出発したとき、\( \vec{a} \) の始点から \( \vec{b} \) の終点への矢印が \( \vec{a} + \vec{b} \) です。

これを頭尾連結(tail-to-head)といいます。平行四辺形則(両方の始点を合わせて描く方法)と結果は同じです。
\( \overrightarrow{AB} = \overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA} \) の意味
O から A へ行き(\( \overrightarrow{OA} = \vec{a} \))、そこから B へ行く(\( \overrightarrow{AB} \))と、O から B への \( \overrightarrow{OB} = \vec{b} \) と同じ道筋です:
$$
\overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AB} = \overrightarrow{OB}
$$
したがって:
$$
\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA} = \vec{b} - \vec{a}
$$
「終点の位置 − 始点の位置」という形です。
減法 — 逆ベクトルを加える
$$
\vec{a} - \vec{b} = \vec{a} + (-\vec{b})
$$
\( -\vec{b} \) は \( \vec{b} \) の逆ベクトル(向きを反転)。減法は「逆ベクトルを頭尾連結する」操作です。
計算例
例 1: 成分で加法を確認
\( \vec{a} = (2, 3) \), \( \vec{b} = (1, -1) \) のとき:
$$
\vec{a} + \vec{b} = (2+1,\ 3+(-1)) = (3,\ 2)
$$
例 2: AB の成分
A(1, 2), B(4, 5) のとき:
$$
\overrightarrow{AB} = (4-1,\ 5-2) = (3,\ 3)
$$
「終点 − 始点」の成分差です。
例 3: 3 つのベクトルの和
$$
\overrightarrow{AB} + \overrightarrow{BC} + \overrightarrow{CA} = \overrightarrow{AC} + \overrightarrow{CA} = \vec{0}
$$
頭尾連結で A → B → C → A と戻ってくるので零ベクトルになります。
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