等差数列 / 数列の基本 / → 一般項と和の関係


等比数列 — 一定の比が生む一般項と和の公式


動機: 「一定の比」という観察から始める

\( 2, 6, 18, 54, \ldots \) という数列を見たとき、隣り合う項の比が常に \( 3 \) になっています。この「比が一定」という規則をそのまま使えば、一般項と和の公式は「かけ算の積み上げ」から必然的に導けます。

等比数列の定義: \( a_{n+1} / a_n = r \)(定数)を満たす数列(\( a_n \neq 0 \))。\( r \) を公比と言います。


一般項の導出

\( a_1 \) に \( r \) を毎回かけていくと:

$$ a_n = a_1 \cdot r^{n-1} $$

\( a_1 \) から \( a_n \) へは \( r \) を \( n-1 \) 回かけるので、指数は \( n-1 \) です。


和の公式の導出 — ずらし引きの発想

\( S_n = a_1 + a_1 r + a_1 r^2 + \cdots + a_1 r^{n-1} \) に \( r \) をかけると:

$$ rS_n = a_1 r + a_1 r^2 + \cdots + a_1 r^{n-1} + a_1 r^n $$

\( S_n - rS_n \) を計算すると中間項がすべて消えて:

$$ (1-r)S_n = a_1 - a_1 r^n = a_1(1 - r^n) $$

\( r \neq 1 \) のとき: \( 1 - r \neq 0 \) なので両辺を \( 1-r \) で割れる:

$$ S_n = \frac{a_1(1 - r^n)}{1 - r} $$

\( r = 1 \) のとき: \( (1-r)S_n = 0 \) という恒等式になって \( S_n \) が求まらない。\( r=1 \) のときは各項が \( a_1 \) に等しいので直接:

$$ S_n = na_1 $$

この 2 ケース分けは 省略してはいけない。\( r = 1 \) を代入した公式は意味をなしません。


計算例

等比数列の棒グラフ(左)/ ずらし引きの対比(右)

例 1: \( a_1 = 2 \)、公比 \( r = 3 \) のとき \( a_5 \) と \( S_5 \) を求めよ

\( a_5 = 2 \times 3^4 = 2 \times 81 = 162 \)

\( r = 3 \neq 1 \) なので:

$$ S_5 = \frac{2(1 - 3^5)}{1 - 3} = \frac{2(1 - 243)}{-2} = \frac{2 \times (-242)}{-2} = 242 $$

例 2: \( a_2 = 6 \)、\( a_5 = 48 \) のとき公比・一般項を求めよ

\( a_5 = a_2 \cdot r^3 \) なので \( r^3 = 48 / 6 = 8 \) より \( r = 2 \)。

\( a_1 = a_2 / r = 6 / 2 = 3 \)。

一般項: \( a_n = 3 \times 2^{n-1} \)


例 3: \( a_1 = 1 \)、公比 \( r = -2 \) のとき \( S_n \) を求めよ

\( r = -2 \neq 1 \) なので:

$$ S_n = \frac{1 \cdot (1 - (-2)^n)}{1 - (-2)} = \frac{1 - (-2)^n}{3} $$

\( n \) が偶数のとき: \( (-2)^n = 2^n > 0 \) なので \( S_n = \frac{1 - 2^n}{3} < 0 \)

\( n \) が奇数のとき: \( (-2)^n = -2^n < 0 \) なので \( S_n = \frac{1 + 2^n}{3} > 0 \)

符号が交互に変わる「振動」が起きています。


理解の確認

\( r = 1 \) と \( r \neq 1 \) の 2 ケース分けが必要な理由は「ずらし引きで \( (1-r) \) で割るとき \( r = 1 \) なら分母がゼロになるから」です。等差数列と等比数列の本質的な違いは「加算の積み上げ」か「乗算の積み上げ」かです。


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