微分は「関数 \( F(x) \) を与えたとき、その変化の速さ \( F’(x) \) を求める」演算でした。積分はその逆で、「変化の速さ \( f(x) \) が分かっているとき、もとの関数を復元する」演算です。
たとえば \( f(x) = 2x \) という速さで変化しているとき、\( F’(x) = 2x \) を満たす \( F(x) \) は何でしょうか。\( F(x) = x^2 \) が一つの答えですが、\( F(x) = x^2 + 3 \) も \( F(x) = x^2 - 7 \) も同じ微分結果を持ちます。これが、不定積分が「一つの関数」ではなく「定数の差だけ異なる関数の族」を返す理由です。
を満たす \( F(x) \) を \( f(x) \) の原始関数と言います。\( F(x) \) が原始関数ならば、任意の定数 \( C \) に対して \( F(x) + C \) も原始関数です。これは
となるからです。逆に、\( f(x) \) の原始関数はすべて \( F(x) + C \) の形で表せることが証明されます(2 つの原始関数の差は定数)。
不定積分はすべての原始関数をまとめて
と表したものです。\( C \) を積分定数と言います。
微分公式 \( (x^n)’ = nx^{n-1} \) を「逆読み」します。\( nx^{n-1} \) を積分すると \( x^n \) に戻るはずですから、添字を \( n \to n+1 \) にずらすと
が得られます。確かめ: \( \left(\frac{x^{n+1}}{n+1}\right)’ = \frac{(n+1)x^n}{n+1} = x^n \) ✓
定数の積分については \( (kx)’ = k \) を逆読みして
| 元の関数 \( f(x) \) | 不定積分 \( \int f(x)\,dx \) |
|---|---|
| \( x^n \; (n \neq -1) \) | \( \frac{x^{n+1}}{n+1} + C \) |
| \( x^2 \) | \( \frac{x^3}{3} + C \) |
| \( x \) | \( \frac{x^2}{2} + C \) |
| \( 1 \) | \( x + C \) |
| 定数 \( k \) | \( kx + C \) |
Step 1: 各項に公式を適用する。
Step 2: 合算して積分定数を付ける。
Step 3: 微分して確かめる。\( (x^3 + x^2 - x + C)’ = 3x^2 + 2x - 1 \) ✓
\( \int x^2\,dx = \frac{x^3}{3} + C \) において、\( C \) の値によって異なる曲線が得られます。これらはすべて「微分すると \( x^2 \) になる曲線」であり、縦方向に平行移動した曲線の族を形成します。
グラフで見ると、\( C = 0, 1, 2, -1 \) などの場合にそれぞれ \( y = \frac{x^3}{3} \), \( y = \frac{x^3}{3} + 1 \), … という曲線の族が描かれます。どの曲線も形は同じで、縦方向のずれが \( C \) の差に対応しています。初期条件(特定の点を通るという条件)を与えることで、この族の中から一本の曲線が確定します(次の記事で扱います)。

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